| 要約 |
運動学習の過程における「認知段階」と「連合・自動段階」への対応は異なる.前者では新規的運動を認知するために言語的情報や生体信号をフィードバックするなどで強化,促進するのに対し,後者は反復する練習あるいは環境設定の異なる場面での運動が奏功する.したがって,ハンドセラピィにおける実践,とりわけ新規的運動獲得が主となる筋・腱移行術等を想定すると,当該段階を区別する必要性は高く,かつ客観的であることが望ましい.以上を基に本研究では,同時注意要求課題を与えた際の筋出力と筋電図振幅,ならびに前頭前野の活動領域から「認知段階」と「連合・自動段階」を区別する新規的指標を見出し,かつそれが若年者と高齢者に普遍的であるか否かを検証することを目的とした.結果,同時注意要求課題を与えた際の前頭前野活動領域は拡大し,かつ事前練習を行った者にあっては,運動習熟値(筋出力を筋電振幅で除した値)が増加する傾向にあった.本結果で認められた現象は,「認知段階」と「連合・自動段階」を区別できる客観的指標として応用できる可能性が示唆された.しかし,本研究における実験課題等については,再現性や客観性を担保するべく今後の検討が必要である. |