| 要約 |
挫滅手とは骨・関節,皮膚,腱,神経,血管などあらゆるものが損傷され,その範囲や形態は極めて複雑である.このような損傷は外傷を扱う手外科医にとって最も治療が難しいものと言える.その治療戦略は「early total reconstruction」の名のもとにほぼ確立されているが,どの治療段階においてもハンドセラピィが関与しなければ,ゴールに辿り着くことはできない.「early」であり「total」であることが治療のカギであり,これがハンドセラピィを有効かつ容易なものにする.「delay」と「staged」は常にハンドセラピィを制限し,また困難にするからである.さて,挫滅手は救急外来で血行状態や神経所見を評価した後に,神経ブロック下に洗浄処置と損傷評価を施行することから始まる.緊急手術においては,デブリドマン,血行再建,骨固定などを行うが,手部損傷においては一期再建が多くなる.損傷領域が解剖学的に狭く2次手術が不利,また早期リハビリテーションが必要で時間的猶予が少ないことがその理由である.この初期手術において,手外科医はすでに患者の治療ゴールを想定している必要がある.そして,この時点でハンドセラピストと協議し,確定的治療後に如何なるハンドセラピィを開始するのかの合意を得ておく.確定的治療は,損傷の程度が重度であるほど早い施行が望ましい(できれば受傷後72時間以内).骨・関節,腱,神経,血管など全ての組織の再建を完了させ,もちろん皮膚欠損は皮弁術で被覆する.あらゆる事項において,ハンドセラピィを妨げるような中途半端な再建は許容されない.これらの手順を踏めば,望みうる最大の機能が獲得されるに違いない.加えて,術後の疼痛はハンドセラピィを妨げる最大の不良要因である.神経ブロックはそれを解決する有効な手段であるので多用する.また様々な合併症が生じることだろう.母指再建,腱剥離,腱移行,関節授動などをしかるべき時期に施行することが重要である. |