| 要約 |
今回,右示指深指屈筋腱皮下断裂を呈し,wide awake surgeryによる腱移植術を施行した症例を担当した.Wide awake surgeryは鎮静や空気止血帯を利用することなく手術を行うためwide awake local anesthesia no tourniquet(WALANT)とも呼ばれている.症例は60歳代女性,右利き,症例の要望は復職であった.手術はセラピストも立ち会い,円滑な手指自動屈曲運動ができることや縫合腱の滑走時の状態を確認した.セラピィは術後翌日より開始し,手指自動屈曲運動と装具除去下での自動伸展運動を実施した.加えて,背側伸展制限スプリントを作製し,訓練以外の時間は常時装着とした.術後4週時点での右示指%TAMは98.3%であり,日本手外科学会機能評価法に基づく成績評価は優であった.術後8週目には装具装着も終了し,術後12週目には制限なく患手の使用を許可した.術後12週目のHand20は0点であった.術中所見に基づき,早期から自動屈曲運動法と完全自動伸展運動法を併用して実施することで,十分な縫合腱の滑走距離を得ることができ,癒着を予防することができた.その結果,早期に良好な関節可動域を獲得し,復職に至ったと考える. |