| 要約 |
【目的】手根管症候群は絞扼性神経障害の中で最も頻度が高く,手の使いすぎが関与している症例が多いとされる.本研究では健常者の手において,各指屈筋腕の滑走が正中神経に及ぼす影響を明らかにすることである.【対象】手根管症候群の症状がなく,同意が得られた健常者10名20手とした.【方法】腕と神経の動きをリアルタイムに描出することのできる超音波診断装置を用いて,手首皮線上で手指屈筋腕の滑走に伴う正中神経の横断的移動距離を計測した.基本肢位は手指伸展位とし,手指の運動は安静肢位,こぶし運動,各指個別の屈曲運動とした.【結果】安静肢位,こぶし運動および各指個別の屈曲運動をしたときには,正中神経は尺側に移動した.また,正中神経の横断的移動距離は示指・中指の浅指屈筋腕が滑走する運動でより大きく,正中神経への影響は大きい結果となった.【結語】手根管症候群のスプリント療法では,手関節のみではなく,示指・中指までの動きを制限することで,神経の安静をはかることができると考えられた. |