| 要約 |
胸郭出口症候群(Thoracic outlet syndrome:TOS)は,上肢症状,頚背部症状,自律神経症状により不定愁訴の様相を呈するため見過ごされてしまう.当施設で加療したTOSの症状は,上肢症状ではしびれが92.3%と最も多く,しびれの範囲は多岐にわたっていた.次いで痛みの87.5%で肘関節内側,肘関節外側,手関節尺側と続き,手外科疾患との鑑別を要する.頚背部の痛みは60.3%で大・小菱形筋,肩甲挙筋,斜角筋と続き,自律神経症状は79.8%でめまい,肩凝り,頭痛と続いた.症状は斜角筋間隙,肋鎖間隙,烏口突起下間隙での腕神経叢の圧迫,なで肩での牽引などにより誘発される.TOSが疑われたら誘発検査を行ってみる.誘発・緩解検査であるMorleyテスト,Wrightテスト,Edenテスト,Roosテスト,下方ストレステスト,阿部テストと腕神経叢の滑走制限を診る神経固定効果について解説した.これまでのTOSの診断基準に斜角筋の緊張と腕神経叢の神経固定効果の有無を加えることにより取りこぼしがないようにする必要がある. |