| 要約 |
本研究の目的は,母指CM関節症における3か月間の“スプリントによる装具療法(装具療法)”の効果を,スプリント非装着下で比較することである.対象は当院で母指CM関節症と診断され,スプリントを処方された13例13手(男性3例,女性10例)で,年齢の平均と標準偏差は53.9(11.0)歳であった.治療成績は母指の橈側外転角と掌側外転角,握力,指腹つまみ測定時のVASによる疼痛,DASH-JSSH versionの機能障害/症状スコア(DASH-DS)とHand20の6項目を用いて,スプリント非装着下で評価した.評価は装具療法前と3か月の装具療法後に行った.対応のある2群比較を行った結果,母指掌側外転角に有意差が認められたが,実際の関節可動域の変化は僅かであった.それ以外の5項目に差があるとはいえなかった(有意水準5%).このことは,スプリント装着による3か月間の装具療法が自覚症状の悪化を防止していた可能性を示している.そのため母指CM関節症の装具療法は,日常生活(ADL)や仕事にスプリント装着が支障とならない症例に良い適応があると推察された. |