認定ハンドセラピストになるためには
認定ハンドセラピスト(JCHT:Japan Certified Hand Therapist)制度は、ハンドセラピィ先進国である米国の資格制度(CHT:Certified Hand Therapist)を基とし2009年に当学会が制定した制度です。米国ではCHTを持っていることがstatusであり、持たないと手外科医より依頼が受けられないような状況(全てではありませんが)もあります。PT・OTに開業権のある州の都市部ではCHTを持つPT・OTが数人でハンドリハセンター(私が訪問したのは5階建てのビル)を経営していることも珍しくありません。勿論、社会的な事情(保険制度など)の大きな違いはありますが、将来的にPTやOTが余ってくる時代がくればPT・OTの資格を持った上で、上位の認定資格を持つ者が選ばれる時代が来ることも十分考えられます。本制度は、そのような先のことも考えて、国際基準に焦点を向けて制定しています。また国内的にも日本作業療法士協会の専門作業療法士制度ともリンクしており、認定ハンドセラピストを目指して頂ければ、専門作業療法士(手外科)も取得できるように(一部条件はありますが)制度化しています。
認定ハンドセラピストになるためには、研修や臨床、研究や教育等に関する要件を満たさなければなりませんが、「認定ハンドセラピスト資格取得の手引き」にそって日々少しずつ努力を積み重ねて頂ければ、それほど遠い道のりではないかと思います。実際のところ、急性期病院のセラピストであれば一定数の手外科疾患を診ておられると思いますので、要件は十分満たしていけると考えます。基本的な流れとしては、養成カリキュラムにそって順番に研修会に参加し、学術集会にも定期的に参加し、2~3年毎に発表をして、発表したことを論文投稿して頂ければ概ね土台は出来上がります。教育・社会貢献の要件も6単位になり、取得しやすくなりました。あとは臨床研修と試験ですが、臨床研修も読み替え措置を新たに設定しましたので、随分取得しやすくなったと思います(詳細は手引き改訂版をご参照下さい)。試験も国試と同様に6割を合格ラインとしておりますので、ここまで来られた方が落ちるようなことはないかと考えます。このように認定ハンドセラピストの取得は、手外科疾患を診られる環境にさえあれば、誰でも日々の努力で取得していける資格だと思われます。
最後に、認定ハンドセラピスト取得のメリットはというと、将来的には当学会が獲得したSW-testの保険点数化のような保険点数上の差別化を目指しております。しかし、それだけではなく、本制度の研修会を受けて頂くだけでも、日頃の臨床で手・上肢を診る力は確実に向上するものと思っています。ハンドセラピィを学ぶことは、ヒトの手・上肢を理解することに繋がりますので、必ず参加した方々の日々の臨床のお役に立てるものと信じております。