認定への道のり体験談
認定臨床研修読み替え措置
※読み替え措置につきましては,認定臨床研修について > 認定臨床研修読み替え措置,
併せて,認定臨床研修の手引き > Ⅴ.認定臨床研修読み替え措置の解説(12頁)を参考にして下さい.
認定臨床研修の体験談
広瀬富二さん(鈴鹿回生病院)
私は,2023年に実施された認定ハンドセラピスト認定試験に合格し,当院で初めての認定ハンドセラピストになることができました.これは、ひとえに、ご指導いただきました研修施設の先生方,認定ハンドセラピスト取得にご支援,ご協力いただきました当院の医師,医療スタッフのおかげです.
これから認定ハンドセラピストを目指される先生方のお役に立てれば良いと思い,今回,私の体験をお話させていただきます.
認定ハンドセラピストになる過程で一番ハードルが高いと感じるのは,認定臨床研修ではないでしょうか.認定臨床研修には,一次研修と二次研修があり研修期間はそれぞれ1ヶ月,2ヶ月間となっており,職場の理解を得ることは困難を極めます.そこで私が利用した研修は,「認定臨床研修読み替え措置」という制度です.これは,課題付研修と自施設症例報告で構成された,一次研修と二次研修からなります.この研修期間は一次研修が16時間,二次研修が32時間となっています.この研修ではスプリント作製が条件となっています.当院でもスプリント作製は日常的に行っていますが,他院での作製方法の違いや素材の違いを知る良い機会となりました.また,普段作製しているけれど,少し作製しづらい装具や,装具のコンセプト,メカニズムが合っているか,確認のための機会となりました.
自施設症例報告は,一次研修で1例,二次研修で2例行います.それぞれ3ヶ月間指導を受けながら治療を実施し,その後1ヶ月以内に報告書をまとめます.そのため、3症例で計12ヶ月程度の期間が必要でした注釈1).当時,臨床業務,管理職業務,職場内の配置転換,県士会などの院外活動などが重なり,スケジュールを圧迫していました.しかし,指導担当していただいた先生方がその都度,治療に対して的確なアドバイスをして下さり大変有意義な時間を過ごすことが出来ました.臨床現場で働いていると,実際の患者様の治療で3ヶ月という長い期間にわたり指導を受ける機会は,ほとんどありません.この自施設症例報告を通して,新たな知識を得られることは勿論ですが,視点の違いに気付かされました.実際に症例を見ることなく,私が提示する情報のみで症例を把握し,さらには私が予測している以上に先の予後予測をされていることに感銘を受けました.
今回,認定ハンドセラピスト試験に合格しましたが,今後もご指導いただいた先生方に追いつけるように日々精進いたします.
注釈1)二次研修の2症例の自施設症例報告は,同じ時期に作成することは可能です(認定臨床研修Q&A参照)ので,期間短縮は図れます.
山田ともみさん(能美市立病院)
認定ハンドセラピストの取得に際し,お世話になった先生方に感謝申し上げます.特に臨床研修及び自施設症例報告では,丁寧にご指導頂きありがとうございました.今後,認定ハンドセラピストの取得を目指す先生方の参考になればと思い,体験談を書かせていただきます.
臨床研修を行う上で一番負担に感じたことは,正直,書類上の手続きでした.学生時代には自ら行わず大学にお任せであった,病院長への許可を頂くこと,実習先や勤務する病院の関係者の方と連絡を密にとりながら,双方の総務課を通して書類の授受や,実習に係る許可をとり,関係者の方々の決済を頂く経験は,たくさんの方々のお世話になって働いていることを再認識しました.特にコロナ禍であったことで,臨床研修に行くタイミング等で大変苦労しました.勤務先の都合や家庭の都合を考えると,2023年以内に完了する必要があったため,調整が非常に難航したことを記憶しています.ですので,臨床研修を受けるからにはより深い学びを得たいとあう気持ちが高まりました.
実際の臨床研修では,普段診ることが少ない外傷の患者さんを担当しました.評価,治療,スプリント作製後すぐにディスカッションできたので,自分自身への反省も含めてフィードバックが効率よく,大変有意義な研修でした.作業療法士になって20年経ちましたが,併走して指導を受けるという機会がなかったので,大変有意義な経験となりました.
認定ハンドセラピスト取得を振り返ると,認定ハンドセラピストになるための研修をひとつひとつ受講してそのたびに自分がアップデートできている感覚,そして,まだまだ学びが足りないという認識は自分をより謙虚に,そして自分がどうなりたいのか,ハンドセラピストとしてどうありたいのかを考える長い旅だったように思います.そして目標をクリアにして現在思うことは,これでやっとスタートに立てたということです.私は手外科専門医がいる病院で勤務しておりませんが,ひとりひとりの患者を大切にし,これまで身に着けた知識と経験を対象者のよい治療に貢献できるようこれからも努力するとともに,私にしかできない後輩育成のあり方,そして国内外にも貢献できるように自らを律して行きたいと思います.このような機会を与えて頂き,ありがとうございました.今後ともよろしくお願い申し上げます.